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耳の洞窟

人にしてもらうっていいね

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人にしてもらうっていいね

ある昼下がりの休日。

さやかと杏子は部屋でゆっくりとくつろいでいる。さやかは音楽を聴きながら雑誌を読んでいて、杏子はお菓子を食べながらベッドに寝転んでマンガを読んでいる。

二人の家の暗黙のルールは、以前のくすぐりっこのあとから、部屋では二人ともさやかの魔法少女姿になっている。
さやかから衣装を貰った杏子は、毎日部屋着として着用している。
白いマントの二人はのんびりとした休日を家で過ごしていた。


しばらく時間がたって

「~~♪~~・・・う、ん~~っ!・・・はぁ、もうこんな時間かぁ、ねぇ杏子、今日何食べる?」

軽く伸びをして、さやかは杏子に尋ねる。

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「杏子?」

さやかが振り向くと

「zzz・・・zzz・・・zzz・・・」

ベッドで丸くなって杏子は寝息を立てていた。

「なんだぁ、寝てるのかよ・・・。ふふ♪寝顔を堪能してやれ♪」

杏子の顔を覗き込むさやか。

いつもさやかがくたくたになるまでくすぐってくる、どちらかといえばSっ気の強い杏子。しかし、安心しきった寝顔はいつもの勝気な表情ではなく、穏やかですこし幼く見えるような表情であった。

「フフッ・・・寝顔かわいいなぁ~。いつも憎まれ口ばっかり叩く癖に。ウリウリ・・・」

寝顔を見て微笑みつつもさやかは杏子の頬をつついていたずらする。

「・・・う、う~~ん・・・うにゅぅ・・・。すぅ~・・・、すぅ~・・・。」

一瞬反応したものの、着ているマントを顔までかけて覆うようにしてまた寝息を立て始めた。

「ウヘヘ・・・かわゆいのぉ///」

さやかのいたずら心がくすぐられる。そしてさやかの目に付いたものは、梵天の付いた耳かきであった。

「あ、この耳かきのふわふわでちょっかいだしちゃおっと!いつもこの耳かきで足の裏とか責められてるからなぁ。未だ、お返しだぁ!ふわふわふわふわ~~~、こしょこしょこしょこしょ~~~。」

梵天で杏子の頬をさわさわと撫でる。

「・・・ふ~~ん・・・うん?・・・ふわぁぁ・・・くすぐってぇよさやかぁ~~。」

「あ、起きちゃった?・・・ごめんごめん、いやぁ、あんたの寝顔見てたらついいじめたくなって・・・。」

「・・・うみゅ~~~・・・」トサッ ギュッ

「ありゃ?どうしたの~杏子?今日は甘えん坊さんなのかな?」

眠たそうな杏子は、さやかの膝に頭を載せると腰に手を回してキュッと抱きしめて、お腹に顔をうずめてくる。

「よしよし・・・。かわいいなぁ、杏子ちゃんは。」ナデナデ

頭をなでてやり、背中をポンポンと優しくゆっくりとしたリズムで軽くたたいてやる。

「エヘヘ・・・さやかのそのポンポン好きぃ・・・。」

「フフ・・・ゆっくり休んでていいからね、杏子。あ、そうだ、耳かきしてあげるね!」

「・・・ふぇ?耳かきしてくれんのか?」

寝ぼけている杏子は、ふにゃふにゃとした感じで聞いてくる

「うん!私耳かきは結構得意なんだ!・・・じゃぁ、このまま、耳を見せてくださ~い。」

杏子は素直にさやかの言うとおりに右耳をさやかの方に向けた。

光が耳によく届く角度を探しだし、さやかは杏子の耳を覗き込む。

「・・・ふぅん・・・なんだぁ、結構きれいなんだね・・・。あんたのことだから耳掃除なんてめんどくさいって言ってさぼって、耳の中がとんでもないことになってるのかと思った。」

「一緒にくらすよういなってからは、結構頻繁にやってるぜ。それに、私耳かきするの好きなんだよね。」

「そうなんだ、それじゃぁ自分じゃ取りにくい所とか私がやったげるね!奥の方とかすこし汚れが見えるから、綺麗にしてあげる!」

「お~う、よろしくたのむなぁ~・・・」

「では、さっそく・・・」

まずはじめにさやかは、耳殻の溝をカリカリと掃除し始めた。



カリカリ・・・カリカリカリ・・・

リズムよく、そして痛くないほどの絶妙なタッチで耳殻を掃除していく。
梵天やヘラの部分を使い分けて綺麗にしていく。

カリカリカリ・・・ふわふわふわ・・・

くすぐったがりの杏子が、くすぐったさに反応しないように力を調節して耳かきを行った。

「ふにゃ~、気持ちいいぜ~・・・。さやかうまいのな~・・・。」

「耳の外は綺麗になったから、今度は耳の中を掃除するね。」

耳かきがついに杏子の耳の中に侵入した。

穴の近くをカリカリとかいてやる。

とくに耳垢はないけれど、気持ちいいマッサージをするように耳の穴を刺激する。

かりかり・・・カリカリカリ・・・シュッシュ・・・。

だんだんと耳かきが耳の奥に入っていく。

「・・・zzz・・・zzz・・・」

杏子はもうすでに眠ってしまったようだ。

「あれ?もう寝たのか・・・気持ちよさそうだなぁ。今度私もやってもらおう。さて、残ってる耳垢を取り出してやるりますか!」

耳の穴の少し奥に、大きめの耳垢があった。

さやかは慎重に耳かきを侵入させる。そして、へらが耳垢に届くとゆっくりと掻きだすように動かす。

しかし、この大きな耳垢は思ったよりも取りにくかった。

カリ・・・カリカリ・・・カリカリカリ・・・

耳かきが何度も耳垢をそぎ落とそうと往復するが、なかなか耳垢がはがれない。

「う~む、なかなかしぶといなぁ。よし、道具を変えてっと・・・。ここは綿棒でしょう!」

さやかは杏子を起こさないように手を伸ばして綿棒と化粧水を手に取る。

かわいた状態の綿棒をくるくる回しながら、耳垢のあるところ挿入する。

クルクルクル・・・シュッシュッシュ・・・カリカリ・・・

綿棒の動きに合わせて耳垢の動きも大きくなってきた。

「よっし、あと少しだ…」

かりかりかりかり・・・コシコシコシ・・・ペリペリ・・・ペリリッ

綿棒を今までより少し強めに動かすと、ペリペリと音をた立て耳垢がはがれた。
耳垢のはがれる刺激に杏子の体がピクンと動く。

「ふぅ・・・けっこう大きいのがとれたなぁ!へへ・・・大漁大漁♪最後は化粧水でっと・・・」

綿棒を化粧水で濡らして、耳殻と耳の穴を掃除する。

ピチャ・・・コシコシ・・・コシコシコシ・・・ゴソゴソ・・・

細かい耳垢を絡め取りながら、杏子の耳の穴を綺麗にしていく。まんべんなく掃除をして、綺麗にしたのち、耳を落ち着かせるため、梵天を耳の穴に差し込んでくりくりと動かす。

「・・ふぁあ!・・・」ピクン!

杏子の体が震える。

「あ!動いちゃだめだよ杏子、くすぐったかった?」

「ふぇ・・・びっくりしただけ・・・。さやかのみみかき、気持ちいいよ・・・zzz・・・」

エヘヘっと少し照れるさやか。そして仕上げに・・・

「杏子、ちょっとくすぐったいかも・・・。がまんしてね?」

「?」

フゥ~~~~

「・・・!!!」ゾクゾクゾク!!ビクビク

耳に息を吹きかけると、杏子は体を丸くして体を震わせる。

「あっははは、やっぱくすぐったかったかな!ごめんごめん、でもこれやらないと耳かき完了って感じしないじゃん?じゃぁ、次は反対!」

杏子は目を眠気と気持ち良さでトロリとさせながら、寝返りを打って体の向きを変える。

さやかは左耳を除くと、右耳同様耳殻を耳かきで掻きはじめた。

「ん?右と左でちょっと形違う??へぇ~、耳って改めてみるとおもしろいなぁ・・・。」

かりかりかり・・・かりかり・・・ゴソゴソゴソ・・・

「利き手じゃない方だから、右耳よりやりがいありそう。耳の外からも結構汚れが取れたな。」

ゴシゴシと耳かきでこすってやる。溝の深い所は自分でも掃除がしにくいため、すこし汚れがたまっていた。
そこを丹念にこすって汚れを落としていく。

「よし、さいごは梵天で・・・」

耳殻を梵天で掃くように掃除する。

そして耳かきは耳の穴へ。

「おっと、こっちはさっきよりも耳垢が見えるなぁ。いっぱいとってあげよう。」

カリカリカリカリ・・・

さやかの耳かきテクニックはかなりのもので、耳垢が次々に取り出され、耳の中はさらに綺麗になっていく。

綿棒やみみかきを使い分けて、耳をマッサージしながらゆっくりと耳垢を取り出す。

カリカリ・・・カリカリカリ・・・パキパキ。ペリィ・・・コシコシコシコシ・・・

耳垢が取り出されるたびに、パキパキと耳垢のはがれる音と刺激が耳の中に生じる。

コリコリコリ・・・カリカリ・・・

「う~~ん、もうすこしで最後のが取れそう・・・。えいえい・・・。」

スッスッス・・・シュッシュ・・・コリコリコリ・・・

耳垢がだんだん手前に移動してくる。そして、

パリパリ・・・ペリペリペリ・・・

ついに左耳の耳垢もほとんどとり終わった。

「よし!できた!じゃぁ、最後に濡らしてっと・・・」

化粧水の付いた綿棒で、カリカリカリ・・・ピシャピシャ・・・

細かい耳垢をすべて蒸れ綿棒にからめとり、最後に梵天を耳に突っ込む。

一連のステップをすべて終えると、最後に耳に息を吹きかける。

フゥ~~~~~・・・

「はい、これでおしまい!・・・杏子?」

「zzz・・・zz・・・zzz・・・」

「あはは・・・練っちゃったか・・・。」

さやかの膝の上で杏子は気持ちよさそうに寝息を立てている。

しばらく髪を梳くように手ぐしで撫でてやる。

「髪綺麗になったなぁ。真っ赤で長くてさらさら。ちゃんとお手入れするようになったから、どんどん美人になっていっちゃうなぁ。」

当の杏子は安心しきった寝顔である。

しばらくしてさやかもあくびを一つすると、杏子の頭を枕に移し、布団をかけて、自分も布団に潜り込む。

「私も眠くなっちゃったよ。一緒に少し寝ようか。」

さやかは腕枕をするように、杏子の頭の下に腕を通すと杏子を優しく抱きしめる。

体全体に杏子の温もりが伝わる。

大好きな人が、近くにいることを実感する。

杏子もさやかに答えるように腕を背中に回して抱きしめる。

白マントの二人の、休日。

まどろみの中、二人はお互いの存在を全身で確かめるようにして眠りに落ちて行った。

二人の世界は、夢の中でも変わらないであろう。
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